しかし同年7月にリリースした2ndシングル『天使のスキャット』がわずか9万枚の売り上げで、その後リリースした『枯葉の街』や『好きよ』も売れず再低迷した由紀さおりさんでしたが、翌1970年にリリースした『手紙』が6週連続オリコン1位の70万枚を売り上げる大ヒットを記録すると、日本レコード大賞の歌謡賞を受賞し、紅白歌合戦にも2年連続で出場を果たし、歌手としての地位を確立したのです。

こうして歌手として活躍する一方、1969年から『8時だョ！全員集合』に出演した由紀さおりさんは、コメディエンヌとしての才能も開花すると、人気番組『ドリフ大爆笑』では最多ゲストとなり、以降も『コメディーお江戸でござる』や『道中でござる』にも準レギュラー出演し人気を集めたのです。

さらに由紀さおりは1982年に『おもしろサンデー』で桂文珍と共に司会者を務めると、翌1983年には松田優作主演の映画『家族ゲーム』で主人公のお惚けさんな母親役を演じ、日本アカデミー賞助演女優賞を受賞し、1987年には朝の連続テレビ小説『チョッちゃん』で主人公の母親役を演じるなど活躍したのです。

また中学生以降、姉の安田祥子さんとは仕事をしていなかった由紀さおりさんですが、1984年のコンサートで姉と共演したところ大反響だったこともあり、母親の提案で1985年に童謡アルバム『あの時、この歌』を発表すると、翌1986年から姉妹で童謡コンサートをスタートさせたのです。

由紀さおりさんはプライベートでは2度結婚をしており、最初の結婚は『夜明けのスキャット』リリースとほぼ同時の1969年に音楽ディレクターの大森昭男さんと結婚したのです。

結婚当時、由紀さおりさんは売れない時期で‟歌手がだめなら結婚して主婦になればいい”という考えから結婚しましたが、『夜明けのスキャット』や『手紙』の大ヒットにより超多忙になると、家で過ごす時間がなくなり夫婦間での心の距離が広がっていったのです。

そんな由紀さおりさんは37歳で子宮筋腫を患い、子宮全摘出により心身ともに不安定な状態だった際、アメリカ在住の日本食レストランのプロデューサー柴冨哲也さんと知り合い交際に発展するも、母親が猛反対していたこともあり、母親の死後1周忌を終えた2000年に事実婚という形でアメリカで結婚したのです。