そんな中、1964年の20歳の時に『判決』第1シリーズで本名の‟前田信明”名義でテレビドラマデビューした前田吟さんは、翌1965年にはテレビドラマ『純愛物語』で主人公に抜擢され、人気俳優の仲間入りを果たしたのです。

その後、1967年に現在の芸名に改名した前田吟さんは、改名直後に出演した映画『ドレイ工場』で誠実な工員役を演じると、この演技が山田洋次監督の目に留まり、1969年の映画『男はつらいよ』に寅次郎の妹さくらに恋をする、印刷工の諏訪博役に大抜擢されたのです。

そんな前田吟さんは以降も多くのテレビドラマや映画に出演し、橋田壽賀子作品にも多く出演しており、1990年からスタートしたテレビドラマ『渡る世間は鬼ばかり』では岡倉大吉の長女：弥生の夫である野田良役を演じ、この作品で国民的スターとなったのです。

好青年から悪役まで様々な役をこなし名俳優として活躍した前田吟さんですが、実は歌手としても活動しており、1980年から1990年代初頭にかけてシングルレコード3枚、シングルCD1枚を発売し、歌が売れた時はあまりの喜びようから、寅さん役の渥美清さんに‟どうして役者になったの？”と聞かれたこともあるそうです。

こうして俳優や歌手・司会者などマルチに活躍した前田吟さんですが、プライベートではデビューした1964年の20歳の時、2学年上の女性と結婚しています。

しかしその後、理由については不明ですが前妻と離別した前田吟さんは、1971年の27歳の時にお互いに連れ子を伴って再婚しています。

そんな前田吟さんには息子が4人いますが、長男は20歳の時に結婚した女性との息子、次男は2人目の嫁の連れ子、そして三男と四男は2人目の嫁との間に出来た子供のようです。