1959年に東京都台東区浅草に生まれた清水由貴子は、6歳の時に父親にオルガンを買ってもらったことで音楽に目覚めました。

しかしその父親は1968年に他界しており、父親亡き後は母子家庭で生活保護を余儀なくされるなど、経済的に苦しい生活を送りました。
そんな生活の中でも清水由貴子は明るく家族を支え、学校では合奏団に入って音楽を楽しんでいたといいます。

貧乏に喘ぐ中で「歌手になったらお金をたくさんもらえる」と思うようになり、高校在学中にオーディション番組「スター誕生！」に参加して芸能界入りを果たしました。

清水由貴子の母親は、娘がオーディションに出場することになった際、「娘に後悔させたくない」との思いで苦しい家計を切り詰めて新品のギターを買ってくれたという家族思いな母親です。

しかし母親は生まれつき身体が弱かったようで、長年にわたり糖尿病と腎臓病を患っており、晩年は入退院を繰り返す生活を送っていました。

清水由貴子はそんな母親を明るく支えていましたが、その裏では介護うつに陥り、2009年に父親の墓前で命を絶つ決断をしました。

清水由貴子が死亡した状態で発見された際、そばには車椅子に座った母親の姿があり、雨に打たれて衰弱していたといいます。
発見時の母親は一時意識を失っていたものの、外傷などはなく、病院に搬送される際に名前や住所を話せるほど意識がしっかりしていたようで、命に別状はありませんでした。

この時は一命を取り留めた母親ですが、清水由貴子の自殺の翌年、2010年9月17日に都内の病院で死去しました。79歳でした。

清水由貴子の妹・良子（よしこ）さんは、1967年6月生まれです。

清水由貴子の死後、妹の著書「介護うつ ーお姉ちゃん、なんで死んじゃったのー」が出版されました。

本の内容は「姉・清水由貴子はがんばり過ぎた。母娘三人暮らし。要介護5の母の自宅介護を選んだ姉。がんばり過ぎを、妹は止められなかった」という文がしたためられています。

清水由貴子が遺した数々の思い出や、妹から姉へのメッセージも記されており、清水由貴子の自殺の直前の様子も綴られました。

妹は清水由貴子が自殺した当初、自分を責めるばかりの日々を送っていたことを明かしています。
しかし姉の死から半年が過ぎた頃、介護の現場においては介護者への気遣いが大事だという考えを広めなければならないと思い立ち、介護者の自殺防止を訴える活動を始めるために筆を執りました。

妹は清水由貴子のことを「周囲には一切弱音を吐かなかった」と振り返っており、「目標に向かって力強く突っ走る人でした」と評しています。

そんな人が最後の最後、生きる目標を失って自殺を選んでしまう。
同じような悲劇が起こらないよう、介護される人はもちろん介護する側にも見守る目が必要だと訴えています。

清水由貴子の妹は、著書「介護うつ」の中で、清水由貴子が自殺直前に綴って携帯電話に保存したまま未送信になっていた〝遺書メール〟があったことを明かし、その内容を公開しました。

遺書メールに綴られていた文章は以下の通りです。

「良ちゃん
母ちゃんを連れていく事許して下さい
天国で良子の幸せ見守っています
母ちゃんの部屋に手紙があります
よろしくお願いいたします
じゃぁね さよなら ごめんね」

このメールは、妹の著書の中で画面の写真が公開されています。
実際のメールの文面は絵文字がところどころに打ち込まれており、一見すると明るい雰囲気のものですが、内容は母親との心中を思わせる壮絶な文章でした。

公開された遺書メールの中に「母ちゃんを連れて行く事許してください」とあり、母親との心中を考えていたと思われる清水由貴子。
しかし実際には、母親は命に別状がない状態で発見されています。

妹はこれについて「姉は私に母を返してくれました」と語り、姉からの最後の優しさに感謝を伝えました。

妹の著書は現在もネット通販などで購入することが可能です。
気になった方はぜひ一度書籍を手にとってみてくださいね。

清水由貴子の介護や自殺理由、家族の情報をお届けしました。
芸能界の第一線で活躍し、現在も多くの人に愛され続ける清水由貴子。彼女の安らかな眠りを祈ります。