こうして弟の受賞を誰よりも喜んだ鳥羽一郎さんは、弟のデビュー翌年である1982年8月に『兄弟船』で念願の演歌歌手デビューを果たすと、‟海の男”というそれまで殆ど取り上げられなかった独自の路線で大ヒットを記録し、その年の新人賞を総なめにしブレイクしたのです。

これまで紅白歌合戦に20回の出場経験を持つ鳥羽一郎さんですが、実は初出場の翌年である1986年に北島三郎さんと山本譲二さんが暴力団との関りから辞退することになると、代役として鳥羽一郎さんが指名されましたが、‟自分もこのような暴力団との仕事上の付き合いはある。歌手ならこのような付き合いは避けられない”と男気を見せ、自ら出場を辞退したこともあるのです。