7位：ありあまる富

「ありあまる富」は、2009年5月27日に発売された10枚目のシングルで、TBS系金曜ドラマ『スマイル』の制作スタッフからの要望を受けてドラマのために書き下ろされました。アコースティックギターと、ワウが効いたエレクトリックギターのアンサンブルが印象的なバラードで、“ありあまる富”という、資本主義社会、消費社会を思わせるタイトルとは逆説的に、物質やお金や世間的な価値観では計れない「富」が「君」に溢れていると歌う歌詞がとても感動的です。

6位：真夜中は純潔

「真夜中は純潔」は、2001年3月28日にリリースされた7枚目のシングルで、東京スカパラダイスオーケストラが編曲を担当したことで話題になりました。古き良きビッグバンドを思わせるゴージャスで怪しげなサウンドが、刹那的な享楽を描く歌詞とあいまって、椎名林檎の持つ官能的でダークな側面を、完璧なエンターテインメントとして昇華しています。

5位：ギブス

「ギブス」は、2000年1月26日に発売された通算5枚目のシングルで、椎名林檎にとって初のバラードシングルとなります。「明日のことは判らない」「だからぎゅっとしていてね」と、書き起こせばシンプルすぎるほどシンプルな恋心が、どこまでも切実にリアルに響くのは、椎名林檎の声が本質的に持つ魅力によるところとされています。

4位：本能

「本能」は、1999年10月27日にリリースされたシングルで、出荷ベースでミリオンセラーとなり、ナース姿のコスプレでガラスを叩き割るミュージック・ビデオとジャケットも話題となった曲です。肉体としての「本能」を言葉にしながら、女性の感情や思考に関わる「本能」を描いてみせたこの楽曲は、日本のポップシーンを大きく揺るがせました。

「丸ノ内サディスティック」は、1999年2月24日にリリースされたアルバム『無罪モラトリアム』に収録された楽曲で、活動初期からコンサートやテレビの音楽番組などでアレンジを変えながら演奏され続ける椎名の代表曲の1つです。“歌舞伎町の女王”が完全にフィクションで書かれた歌詞であるのに対して、“丸ノ内サディスティック”は、福岡から上京した椎名林檎が東京という街に感じていたフラストレーションを淡々とした筆致で描いた人気作品です。

2位：ここでキスして。

「ここでキスして。」は、1999年1月20日にリリースされた3枚目のシングルで、この曲で『ミュージックステーション』への初出演を果たしています。“歌舞伎町の女王”という、ともすればアンダーグラウンドなダークヒロイン的なイメージで語られてしまいがちなところを、その匂いは踏襲しながらも、十分にメインストリームで共感を得られるアーティストであることを証明してみせた1曲です。

1位：歌舞伎町の女王

「歌舞伎町の女王」は1998年リリースの2ndシングルで、自ら「新宿系自作自演屋」を名乗り、スタイリッシュにソウル、ニューウェーブ、ネオアコ、ヒップホップなど洋楽からの影響を強く感じさせた「渋谷系」ムーブメントへのカウンターを感じさせた1曲となっています。オルタナティブロックに昭和日本の歌謡テイストを劇薬的に混ぜ込んだ、彼女を語る上で欠かせない1曲です。