辻井さんは産まれたときから全盲の「小眼球症」という障害をもっていました。
産まれて数日たっても目を閉じたままで母親は医師から「生涯目が見えるようになることはない」という宣言を受けました。
そんなショックな中、辻井さんが生後半年を過ぎたころショパンの「英雄ポロネーズ」を聴くたびに足をバタバタさせて喜んでいたそうです。
その姿を見た母は音楽の環境を整えたそうで、辻井さんが2歳3カ月のクリスマスの日まだおむつ持たれていないのにピアノを弾いたそうです。

そして、ピアノを習い初めて数年がたった5歳の時にサイパンへ海外旅行をされたそうです。その時に行ったショッピングセンターにあるピアノを弾きたいと駄々をこね特別に弾かせてもらうことになりました。
辻井さんが演奏を始めると多くの人が足を止め中には涙ぐんでいる人もいたそうです。

その後、恩師である川上昌裕さんと出会ったことでプロを目指すようになり、2009年にアメリカで開催されたヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人初の優勝を果たします。

さらに、「第21回日本映画批評家大賞・映画音楽アーティスト賞」や「日本ゴールドディスク大賞2012（Classical Albums of the Year）」「日本ショパン協会賞」など数多くの賞を受賞されています。

また、2014年から、カーネギーホールでのコンチェルト・デビューやトーンキュンストラー管弦楽団との共演でウィーン・デビューするなど活躍が止まりません。

近年では、新型コロナウイルスの影響で多くのコンサートが中止になりました。そんな中、Youtubeチャンネルを開設し初の有料オンライン・コンサートも開始されるなど現在も精力的に活動されています。

辻井さんが通っていた小学校は、筑波大学附属盲学校（現在は視覚特別支援学校）小学部です。

小学校に入る前からピアノを習っていた辻井さんは、7歳の時に全日本盲学生音楽コンクール器楽部門ピアノの部第1位受賞しています。
これだけではなく、10歳の時には三枝成彰スペシャルコンサートで本名徹次指揮、大阪センチュリー交響楽団と共演しデビューを果たしました。

その活躍は留まることを知らず、11歳の時は全国PTNAピアノコンペティションD級で金賞・審査員特別賞、そして12歳の時には第1回ソロ・リサイタルをサントリーホール小ホール、そして翌年には第2回のソロ・リサイタルを開催しています。

辻井さんは小学生になってもピアノばかりの日々で心配したお父さんは、「１日何分でもいいから、本を読みなさい。本も読まないようじゃ、だれからも相手にされなくなるぞ」と行っていたようですが、それに反抗し大声で言い争うこともあったそうです。

出身の中学校ははっきりとした情報がない為分かりませんが、筑波大付属盲学校中学部に進学する際に進路相談で「ピアノだけやるのではなく、学校の勉強にもしっかりついてきてください」といわれ、ピアノか勉強かという選択になったそうです。

その際に、母親は「二兎（にと）を追う者は一兎（いっと）をも得ず」と言い、それまであまり認めていなかった父親も賛成しピアノの道に進むことを認められたそうです。

そこで、中学校は筑波大付属盲学校中学部ではなくピアノに理解がある都立の盲学校へ進学されました。

出身高校は東京音楽大学付属高等学校（ピアノ演奏家コース）で偏差値は52です。
この高校は音楽科のみでかなりの難関校として有名です。

辻井さんの他にも卒業された有名人も多数います。

・宮本笑里(ヴァイオリニスト)
・生田絵梨花(アイドル(乃木坂46))
・渡辺茂樹(音楽プロデューサー)
・林美智子(オペラ歌手)　他

2004年に東京交響楽団の定期公演に出演すると大きな反響を得ると、翌年には、スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団と共演しています。

また、2005年の17歳の頃にワルシャワで行なわれた第15回ショパン国際ピアノコンクールにて「ポーランド批評家賞」を受賞するなど高校生とは思えない活躍です。

高校卒業後は、上野学園大学（演奏家コース/ピアノ専門）に進学されています。
上野学園大学の演奏家コースは学科の試験はなく実技試験のみですが、かなりの難関校としても有名です。

上野学園大学を選択したのは師匠である横山幸雄さんが上野学園大学の出身者だからだそうです。

辻井さんが入学したころに男女共学になったようですが、元々女子校ということもあり女子の方が多い環境だったそうです。
その為、友達のほとんどが女の子で学食で食べたりピアノの話をしたりしていたようです。