事務所の先輩である「ザ・ピーナッツ」に憧れて歌手を目指したという布施明さん。

1965年に「君に涙とほほえみを」でデビューし、その後も「霧の摩周湖」や「愛は不死鳥」、「積木の部屋」などヒット曲に恵まれるも、賞レースとはなかなか縁がありませんでした。

そんな布施明さんに転機が訪れたのは、1975年に小椋佳さんから提供を受けた名曲「シクラメンのかほり」でした。

同曲は、ミリオンセラーを記録する大ヒットとなり、この年の日本レコード大賞や日本歌謡大賞、FNS歌謡祭での最優秀グランプリなど、各賞を総ナメにする快挙を達成！

それ以降も、「落葉が雪に」や「君は薔薇より美しい」、「カルチェラタンの雪」などのヒット曲を連発し、年末恒例のNHK紅白歌合戦にも常連出場するなど、日本を代表する男性アーティストとなっていきました。

そんな布施明さんは、プライベートでは2度の結婚を経験しており、最初の結婚は1980年2月、布施明さんが33歳の時に4歳年下のイギリス人女優、オリヴィア・ハッセ―さんとの国際結婚でした。

オリヴィア・ハッセ―さんは、映画「ロミオとジュリエット」で知られる有名なハリウッド女優で、また、当時はまだ珍しかった国際結婚と言うことで、大変な話題になりました。

父親がアルゼンチンのオペラ歌手だったオリヴィア・ハッセーさんは、アルゼンチンのブエノスアイレスに誕生するのですが、2歳の時に両親が離婚し、8歳で母親の母国・イギリスに渡りました。

ドラマ・スクールで学んでいたオリヴィア・ハッセーさんは、ロンドンの舞台に立っていたところをフランコ・ゼフィレッリ監督に見出され、1968年公開の映画「ロミオとジュリエット」のジュリエット役に抜擢されました。

同作品は世界的な大ヒットとなり、オリヴィア・ハッセーさんは一躍、世界的人気女優となるのですが…その後は役に恵まれず、主にテレビドラマへの出演が主となっていました。

そんなオリヴィア・ハッセーさんと布施明さんの出会いは、1979年3月頃に放送されたカネボウ化粧品のCMに出演していたオリヴィア・ハッセーさんのCMソングを布施明さんが担当したことがきっかけでした。

当時、大変な話題になった布施明さんのCMソングがこちら。

ハーフっぽい濃い顔立ちをしているものの、純日本人な布施明さんは、英語はほとんど話せなかったそうで、当初は、“言葉の壁”もありましたが、布施明さんは英語を猛勉強の末にこれを克服。

日本とアメリカという“超遠距離恋愛”も、オリヴィアさんが極秘で来日したり、布施明さんがオリヴィアさんの豪邸を訪問するなどして逢瀬を重ね、また、会えない時は国際電話で話すなどして乗り越えたと言います。

さらに、当時、オリヴィア・ハッセーさんには1971年に結婚した相手（1978年に離婚）との間に、8歳になる一人息子・アレキサンダー君がいたのですが、アレキサンダー君が布施明さんに懐いていたこともあり、1980年に無事、結婚に至っています。