鈴木聖美さんは、「シャネルズ（のちの「ラッツ＆スター」）」でリーダーを務めていた鈴木雅之さんの4歳差のお姉さんです。

現在では“ラブソングの王様”との異名をとる鈴木雅之さんですが、そんな彼の音楽性に強い影響を与えたのは、他ならぬ姉・鈴木聖美さんです。

その一方で、鈴木聖美さんの歌手デビューのキッカケを作ったのは、一足先に「シャネルズ」としてデビューしていた弟の鈴木雅之さんだったんですよね。

まずはそのあたりのお話から振り返ってみることにしましょう。

東京の下町として知られている大森に、3代続く江戸っ子として誕生した鈴木聖美さんは、当時の女性としては珍しく、20歳まで浅草のお祭で神輿をかついでいたというチャキチャキの江戸っ子だったそうです。

父親は下町の町工場の職人、母方の祖父は大森の海苔漁師という環境で育った鈴木聖美さんでしたが、一方で小学校高学年の時に出会ったR＆Bやソウル・ミュージックに魅了され、どんどん傾倒していくことに…。

そんな鈴木聖美さんが通っていた小学校についての情報は見当たらなかったのですが、中学校については、地元の”大田区立大森第八中学校”を1968年3月に卒業されているようです。

さらに、鈴木聖美さんが卒業した高校についても調べてみたのですが、残念ながら信憑性のある情報を見つけることはできませんでした。

小学生時代からR＆Bやソウル・ミュージックに夢中だった鈴木聖美さんは、20歳の頃にはバンドのボーカルとして数々のコンテストに出場しては優勝を重ねていたと言います。

当然、そんな鈴木聖美さんに目をつけたプロダクションなどから、プロ歌手デビューを打診されるのですが、“女の幸せは結婚にある”と考えていた鈴木聖美さんは、それらの誘いをあっさりと蹴り、結婚してしまうんですよね。

その後、2人の子供に恵まれるも、結婚生活は長くは続きませんでした。離婚後は、シングルマザーとして2児を抱えながら仕事をしていたという鈴木聖美さん。

そんな姉の窮状に手を差し伸べたのか、はたまた鈴木聖美さんの鬼高い歌唱力を買っての判断なのかはわかりませんが、いつしか弟・鈴木雅之さんの勧めで、「シャネルズ」のライブに飛び入り参加するようになっていました。

やがて、“おねーちゃんコーナー”として、「シャネルズ」のライブでは定番化し、コアなファンからも大絶賛されていた鈴木聖美さん。

1982年にはアマチュアとして、シャネルズの楽曲「もしかしてI LOVE YOU」のレコーディングに参加までしていたと言います。

そんな中、1986年のテレビドラマ「あぶない刑事」の挿入曲「WAIT AND SEE」の歌唱を任されたことを足がかりに、「鈴木聖美 with Rats＆Star」名義で、1987年4月1日にリリースされた「シンデレラ・リバティー」でメジャーデビューを果たしました。

ちなみに、この「シンデレラ・リバティー」は、作詞に三浦百恵さん、作曲にアンルイスさんを迎えるという力の入れようで、ポップス界としては異例の34歳という大変な遅咲きデビューとなりました。

しかし、その直後の同年5月2日にリリースされた、1st.アルバム「WOMAN」は、実に60万枚を超す大ヒットを記録！

このアルバムの収録曲である「ロンリーチャップリン」は、デュエットソングの定番となり、同じく収録された「TAXI」も、今なお鈴木聖美さんの代表曲の一つとして数えられています。